帳簿をつける義務はすべての法人にある
「うちは小さい会社だし、税理士に丸投げしているから帳簿は大丈夫」と思っていないでしょうか。法人である以上、会社法と法人税法の両方で帳簿の作成・保存義務があります。規模の大小は関係ありません。
帳簿をきちんとつけておくと、法人税申告がスムーズになるだけでなく、毎月の利益を把握できるので「今月は外注費を使いすぎたかな」「人件費率が上がっているな」といった経営判断にも役立ちます。逆に言えば、帳簿が不正確なまま放置していると、月次決算が遅れ、経営判断がすべて後手に回ります。
中小企業の帳簿づけ3ステップ
帳簿と聞くと難しそうですが、やることは大きく3つだけです。
ステップ1:売上を正確に記録する——請求書発行から入金消込まで
中小企業では掛け取引が中心です。商品を納品したりサービスを提供したら、請求書を発行し、売掛金として計上します。そして入金があったら売掛金を消し込む。この「発行→計上→消込」の流れを毎日・毎週の業務に組み込むことがポイントです。
ありがちな問題は、請求書の発行が遅れて売上計上のタイミングがずれることです。月末締めの請求書は翌月5営業日以内に発行するルールを決めておくと、月次決算のスピードが格段に上がります。
入金消込は銀行口座のAPI連携を使えば自動化できます。手作業で通帳と請求書を突き合わせる手間がなくなり、消込漏れも防げます。
ステップ2:経費の証憑を整理する
支払いが発生したら、請求書や領収書を月ごとに整理して保管します。2024年1月からは電子取引データの電子保存が義務化されているため、メールで受け取ったPDFはそのまま電子保存が必要です。
中小企業で多い経費の仕訳例はこちらです。
| 支払い内容 | 勘定科目 | 補足 |
|---|---|---|
| 従業員の給与・賞与 | 給料手当・賞与 | 社会保険料の会社負担分は法定福利費 |
| 外注先への業務委託料 | 外注費 | 請負契約か委任契約かで源泉徴収の要否が異なる |
| 取引先との会食・手土産 | 交際費 | 1人あたり1万円以下の飲食は会議費にできる場合あり |
| 出張旅費・交通費 | 旅費交通費 | 出張旅費規程を整備すれば日当も経費計上可 |
| 機械・車両・PCなど | 固定資産 | 取得価額30万円未満なら少額減価償却資産の特例あり |
| 事務所の家賃 | 地代家賃 | 共益費・管理費も含む |
| 水道代・電気代 | 水道光熱費 | 自社ビルでも賃貸でも同じ科目 |
ステップ3:会計ソフトに入力する
手書きの帳簿やExcel管理でも法的には問題ありませんが、転記ミスや計算ミスが起きやすく、月次決算が遅れる原因になります。クラウド会計ソフトを導入すれば、銀行口座やクレジットカードとの連携で入力作業を大幅に削減でき、経理担当者の負担が軽くなります。
主なクラウド会計ソフトの比較はこちらです。
| ソフト名 | 年額料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| マネーフォワード クラウド会計 | 年39,336円~(スモールビジネスプラン) | 銀行口座やカードとの連携が強い。部門別管理に対応 |
| freee会計 | 年47,760円~(スタンダードプラン) | 請求書発行から記帳まで一気通貫。独自の概念に慣れが必要 |
| 弥生会計オンライン | 年30,580円~(ベーシックプラン) | 操作画面が伝統的な簿記形式に近く、経理経験者に馴染みやすい |
当事務所ではマネーフォワード クラウド会計をおすすめしています。
帳簿・証憑の保存期間に注意
法人の帳簿・書類の保存期間は以下のとおりです。
- 帳簿(仕訳帳・総勘定元帳等) — 7年間
- 請求書・領収書・契約書等 — 7年間
- 欠損金が生じた事業年度の帳簿・書類 — 10年間
保存期間の起算日は、確定申告書の提出期限の翌日です。欠損金の繰越控除を活用する可能性がある場合は、10年保存を前提にしておくと安心です。
月次決算を早く締めるメリット
帳簿を正確につけることは、月次決算を早期に締めるための土台です。日々の記帳が追いついていれば、月初から決算作業にすぐ取りかかれます。月次決算が早いと、以下のメリットがあります。
- 経営判断がタイムリーになる — 翌月10日で数字が確定すれば、広告費の追加や人員配置の見直しをすぐに検討できる
- 金融機関からの信頼が上がる — 融資審査で試算表を即座に提出できる企業は評価が高い
- 年次決算の負担が軽くなる — 月次が正確なら期末は12ヶ月分の積み上げにすぎない
- 属人化リスクが下がる — 帳簿づけの手順やルールが明文化されていれば、担当者が交代しても引き継ぎがスムーズ
当事務所のサポート
「帳簿のつけ方がこれで合っているか不安」「会計ソフトの初期設定を手伝ってほしい」「経理担当者が一人しかいなくて体制に不安がある」——そんな中小企業の経営者・経理担当者の方を、当事務所はサポートしています。自計化の仕組みづくりから月次決算の早期化まで、まずはお気軽にご相談ください。
